今回は天然イ草の縁無し畳の作り方を説明します。
畳には縁付き畳と縁無し畳が有ります。見た目で分かると思いますが縁が付いているか付いていないかの違いです。
昔は縁無し畳が一般的で縁付き畳の方が高価でした。ですが今では逆転して縁無し畳の方が高価になってます。
なぜ縁無し畳が高価なのかと言うと製作に手間が掛かるのと技術が必要だからです。縁付き畳より数倍の手間が掛かります。技術も必要で特に天然イ草の場合はかなりの経験が必要になります。なぜ高価なのかも併せて今回は縁無し畳の作り方を説明しますね。
今回の畳表は天然イ草の目積表(めせきおもて)を使用しました。畳床は建材ボードになります。
先ずは土台の作製です。何と言ってもこれが一番肝心です。これを間違えたらアウトですから。
寸法通りに切り回していきますが畳表を包む為、素材の厚みなどを考慮して大きさを微調整します。これも経験が必要です。
この畳表が目積表です。通常の畳表から比べると畳目が細かいので縁無し畳に適した畳表です。
縁無し畳の場合、土台を包むので寸法に合わせて畳表を折らなくてはいけません。乾燥して有るイ草を直接折ってしまうと割れてしまいます。割れを防ぐためにイ草を水に浸してイ草を柔らかくします。ここが一番難しい所です。どうやってイ草の割れを防ぐかが一番難しいです。気温や湿度が大いに関係して来ます。夏場と冬場ではイ草が柔らかくなる時間が違ったりするので経験が必要です。特に冬場は大変です。気温によっては真水では無くぬるま湯などを使ったりもします。畳表を折っても割れない状態を見極めるが一番苦労します。これは本当に経験です。これだけは機械やIAが発達しても絶対に真似出来ませんね!確信できます。
この様に寸法を決めます(○囲みの部分)これも畳表の素材によって微調整します。地厚なものや薄い畳表などで寸法に微妙な違いを計算します。
折り曲げ器にセットして折っていきます。手動ですが!!
この様に寸法通りに折っていきます。
両側を折り終わったら土台に包みます。この時に土台と畳表の寸法が合うかが肝心です。縁無し畳は畳表を包むので畳表の包む分まで寸法を計算します。
因みに縁付き畳はこの様になっております。畳表を包まず裁断し畳縁が付きます。
話は戻ります。寸法が合っていたら縫い上げ作業に入ります。ここからは機械が縫います。
四方を縫い上げれば完成です。
天然イ草の縁無し畳完成です。
畳表は割れずに出来上がりました。
簡単な説明でしたが縁無し畳の作りかたを分かって頂けたでしょうか?そして非常に手間が掛かかる事を判って頂けたでしょうか?何よりも製作には経験値が必要は作業になるのです。機械での大量生産が出来ないのがこの縁無し畳なのです。1枚1枚寸法が違い手作りで作製するので高価になるのです。これが縁無し畳の高価な理由です。
和紙や樹脂系の畳表の縁無し畳の作り方はまた別になりますので後程書きたいと思います。
加藤畳店・加藤正幸