最近つくづく思う事が有ります。
それは最近選ばれる基準が変わって来た事。
一昔前なら畳屋さんを選ぶのに技術が有るから選ばれていた事が多かった。その次には昔からの出入りだとか近所だからとかで選ばれていた。判断材料が技術の時代でした。
最近では本当に変わって来た事を実感します。
畳屋さんにもコモディティー化が進んできた気がします。違いが無いならどこに頼んでも一緒!!
そして今日お客様の畳を見て正直ビックリしました。
少しマニアックな話になりますが、畳縁が付く方で畳と畳が合わさる側(上前)は畳縁が目乗りしなくてはいけません。
目乗りとは畳目の真上に畳縁が乗り平行になる事です。
写真の様に畳目の上に縁が乗るのが基本中の基本です。壁側(下前)は家の曲がりを畳で吸収しているので目乗りする事は殆ど有りません。
この目乗りは茶室では必須条件ですし一般家庭でも基本目の上に乗せます。
今日の引き上げて来た畳はこれです。
完全に目乗りしていません。半目状態です。畳縁を外してみるとこんな感じです。
本当は真直ぐ切らなくてはいけないものですが畳表を曲がって切っています。
目乗りどころか畳表を小さく切り落としてしまい、おまけに直線じゃなくてはダメなのに曲がって切って有りました。
技術が全く無いって言っても過言では有りません。私から見たら素人が施工した様に見えます。
ですがこの技術の差はお客様から見たら分かるのだろうか??果たして気づいただろうか?
お茶をやられる方や畳屋さんは気が付くと思うがそれ以外の方は分かるだろうか??
私は分からないと思う。
最近の畳では材料の変化や機械の発展により技術の差が分かりずらくなって来ました。
昔は手縫いなどが有ったので技術の差は明らかに見える事が出来た。
だから技術で選ばれたのかもしれないです。
だが今では技術だけでは選ばれなくなってしまいました。
誰が作ろうとそれなりに出来てしまい差が見えにくくなったからです。
誤解しては困るのですが見る人が見れが今の基準でも技術の有る無いは分かります。
昔とは選ばれる判断基準が変わって来たのですから私も変わらなくてはいけません。
私は1級技能士や指導員の資格を持っていますがもうそれだけでは選ばれる基準では無くなって来ていると思います。
これから選ばれるには技術は勿論有って当たり前ですが人柄や人間性も選ばれる基準になるのでしょうね。
コモディティー化されない為には個を出さないと選ばれない時代になりそうでね。
昔ながらの良い部分は残しつつ進化しなくてはいけませんね。
勿論ですが技術は大切です。当店はこれからも技術だけは他店に負けない様に精進していきます。
今日の仕事を見てふとこんな事を思いました。
加藤畳店・加藤正幸